【動画で見る】肩関節脱臼の整復法

 こちらの記事は柔道整復師向けの記事です。

スキー場外傷で多いものの1つ、肩関節脱臼。

頻繁にとはいいませんが、スポーツ現場ではしばしば遭遇する外傷ではないでしょうか。

脱臼は緊急を要するので、病院受診まで時間がかる場合など状況により、初期対応として応急的な整復が必要な場合があります。

今回は肩関節脱臼の初期対応について見ていきましょう。

肩関節脱臼とは?

肩関節脱臼は、人体の全脱臼の中で最も発生頻度が高く、脱臼する方向によって

  • 前方脱臼 (90%以上)
  • 後方脱臼(まれ)
  • 垂直脱臼(きわめてまれ)

に分けられます。
前方脱臼が90%以上といわれており、実際にスキー場外傷でも前方脱臼がほとんどです。
発生頻度の高い”前方脱臼”について見ていきましょう。

【脱臼の部位別ランキング】

  1. 肩関節前方脱臼
  2. 肘関節後方脱臼
  3. 顎関節前方脱臼
  4. 肩鎖関節上方脱臼
  5. 第一中手指節関節背側脱臼

(wikipediaより引用)

 

肩関節脱臼(前方脱臼)の外観上でのチェックポイント

外観上でのチェックポイントです。画像はクリックで拡大できます。

  1. 三角筋の膨隆が消失し、肩峰が突出して見える。肩峰下に骨頭が触知できない(肩峰下の空虚)
  2. 骨頭がモーレンハイム窩に触知できる(モーレンハイム窩の消失)
  3. 肩関節軽度外転位、内旋位の疼痛緩和肢位をとる。
骨頭の位置を必ず確認する!
外観だけで判断しないように、かならず触って骨頭の位置を確認しましょう。
前方脱臼であれば、肩峰下に骨頭は触れれずモーレンハイム窩周辺に触知できますが、
例えば上腕骨近位端部骨折などは、腫脹によりモーレンハイム窩が消失したように見えることがあります。(骨頭は肩峰下に触れれます)
圧痛の確認は抜かりなく!
骨折が合併していないか必ず圧痛を確認しましょう。骨折があれば必ず圧痛があります。(まれに例外もありますが)
上腕骨前面・後面・外側・骨幹部はもちろん、腋窩から上腕骨の内側〜関節付近の圧痛もしっかり確認しましょう。
軸圧痛などの介達痛などの有無も確認しましょう。

 

合併症

肩関節脱臼の主な合併症です。

  • 上腕骨骨折(烏口突起骨折・大結節骨折・上腕骨近位端部骨折・ヒルサックス損傷など)や関節窩縁部損傷(バンカート損傷)
  • 腋窩動脈の損傷または圧迫(橈骨動脈の拍動が減弱or消失する)
  • 腋窩神経の損傷または圧迫(三角筋部の知覚異常をきたす)
脱臼の整復はなるべく早目に、原則6〜8時間以内
脱臼では周囲の神経・血管の圧迫による、麻痺や循環障害などが生じる為、
原則的に6〜8時間以内に整復することが求められる。

まずは確認!外傷の初期評価「ABCDE」

A(気道):正しく話せるか
B(呼吸):正常な呼吸を行えるか
C(循環):脈に異常はないか、皮膚の色や温度に異常はないか
D(中枢神経):意識はしっかりしているか、手足を動かせるか
E(脱衣と体温):体温は正常か、全身をみて他の部位に損傷はないか

↓詳しくはこちらの記事にまとめました

外傷の初期評価|緊急度を迅速に評価するための簡易版ABCDEアプローチ

2018.07.16

 

肩関節脱臼の整復法

注意点、原則として

脱臼患者の初期対応として専門医(整形外科)へ早急な紹介が原則です。
なんでもかんでも安易に整復を行うのは絶対に避けてください。
病院受診まで時間がかかりそうな場合など状況を判断した上で、応急処置的に整復を行うようにしましょう。
整復前にはしっかりと症状を確認し、骨折などの合併症が疑われる場合は触らず、そのまま固定を行い早急に病院へ紹介しましょう。
また、整復を行う場合は必ず患者に説明を行い同意を得てから行うようにしましょう。

ゼロポジション整復

実際の整復動画です(撮影許可をいただいております。)

ゼロポジション整復法は非常に愛護的でかつ再現性が高のが特徴です。

 

座位整復法

実際の整復動画です(撮影許可をいただいております。)

座位整復法は少しコツがいり難易度は増しますが、来院時の座ったままの姿勢で行えるのがメリットです。

 

ポイントと注意点

  1. 骨折など合併症が疑われるものは触らない。
  2. 整復は愛護的に。脱臼整復の基本は牽引をかけながら、引っかかりを外すように行う。
  3. 整復のコツは「脱力」です。力が入っていると一向に入りませんが、力が抜けると嘘のように入ります。
  4. 整復はあくまでも応急的に。何度もトライしない。整復できる気配がなければ、無理せず専門医へ。

 

まとめ

脱臼は6〜8時間以内に整復をしなければならないと言われていますが

実際はかなり痛みが強いので、やはりなるべく早めに整復してあげるのが望ましいです。

先程も書きましたが、安易に整復に踏み切るのは絶対にしてはいけませんが

現場の状況や患者の症状などを考慮し判断した上で、応急的に整復を行うのはとても意味のあることだと思います。

柔道整復師が医師の同意なしで行えるのは骨折・脱臼では応急処置までなので、くれぐれも業務範囲をこえてしまわないようにしましょう。

そこから先は医師の仕事なので、しっかり専門医に引き継ぎましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。




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